平成27年度うつ・自殺対策に係る「若年層支援者研修会」を開催しました。
福山・府中地域保健対策協議会 うつ・自殺対策医療連携協議会では,当圏域における若年層の自殺率を10年前と比較すると増加傾向が見られます。その背景として,就労や健康問題等様々な問題が複雑に関係し,自殺率の増加に影響を及ぼしているのではないかと考えました。そこで,若年層へのメンタルヘルス対策強化を目的として,就労支援を行う教育関係者や産業保健関係者,及び医療保健関係者を対象に研修会を開催しました。
開催日時 平成27年8月27日(木) 13:30~15:30
開催場所 広島県福山庁舎 第3庁舎 8階 381・382会議室
参加者数 53名
【プログラム】
13:30 |
開会あいさつ 福山・府中地域保健対策協議会 うつ・自殺対策医療連携協議会長 森木康之先生 |
13:35 |
【講演】 「若者の就労に伴う不安への対応」 ~知っておきたい就職活動中・就労中の若者が抱える 心のSOS及びストレスチェック法の対処とコツ~ 講師 福山大学 人間文化学部 心理学科 川人潤子 先生 |
15:30 |
閉会あいさつ 福山・府中地域保健対策協議会 うつ・自殺対策医療連携協議会長 森木康之先生 |
【講演内容】
日本は国際的にみて,若年者の自殺率が高く,15才?39才の死亡原因の第1位が「自殺」となっているのは日本の特徴である。若者のメンタルヘルス不調の増加原因としては,「自分に仕事が向いていない」,「人間関係の問題」等があげられている。フリーターや無職者,非正規雇用者が増加している。また,若年者の離職率が高い背景には,リアリティショック(就職前に想像していた職務イメージと就職後の現実との矛盾によっておこる現象)が存在する。
支援者は,メンタル不調者の不調に気づいた場合,声をかけたり,話を聞くなどして適切な相談機関につなぐ役割があるが,一人で抱え込まず,複数で対応することが必要である。また,若年者自らが,ストレスチェックを行い,自分自身の不調に気づくことも重要である。
(講演資料(PDF【1,636KB】)はこちら)
開催日時 平成28年2月2日(火) 19:30~21:00
開催場所 福山市医師会館 4階 演習室
参加者数 61名
【プログラム】
19:30 |
開会あいさつ 福山・府中地域保健対策協議会 うつ・自殺対策医療連携協議会長 森木康之先生 |
19:35 |
【報告】 福山・府中地域保健対策協議会 うつ・自殺対策医療連携協議会委員 北川雅典 |
20:00 |
「職域における若年層へのメンタルヘルス対策」 講師 鎗田労働衛生コンサルタント事務所 鎗田 圭一郎 先生 |
21:00 |
閉会あいさつ 福山・府中地域保健対策協議会 うつ・自殺医療連携協議会委員 吉永圭一郎先生 |
【講演内容】
双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり,3回以上休復職を繰り返している方は,Ⅱ型が多い。
最近の20年間で,自閉症スペクトラム障害の診断が20倍に増加し,双極性障害は40倍に増加したデータがあるが,過剰診断を抑え,流行診断を避けることが大切となっている。
若年層のメンタルヘルス対策では,双極性障害が問題となっている。双極性障害の患者は自殺に至る危険性が高く,自殺予防を念頭に入れた対応が求められている。
双極性障害の復職にあたっては,短期間の経過観察では不十分と考えられ,長期のリワークの活用や復職プログラム,経過観察が必要となる。また,産業医による就労支援という観点から,双極性障害を慢性疾患ととらえ,自分の生きづらさに気づいていくプロセスとしての支援が必要である。